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華麗なる冒険

桜坂劇場で「100歳の華麗なる冒険」を見た。生きているということがそもそも華麗なる冒険なのかと少し肩の力が抜ける気がする映画だ。

 私には今年84歳になる父親がいる。親が長生きすることは幸せで有難いこと、と心底言えるほど人生は単純でもなく、父には厄介事を持ち込まれることも多い。映画の主人公アランのように、いかなるトラブルにも妙なマイペースぶりを発揮し、成り行きまかせでだましだまされ生き抜いてきた父には親らしいことをしてもらった記憶もほとんどないが、まぁそれも彼の華麗なる冒険だと思えば、そんなに腹を立てる必要もない気がしてくる。

アランが言うように、人が見せるのは一面であり、見せない面の方がはるかに多いのだから、誰のこともこうと決めつけると間違える。

 あの父は100歳まで長生きするかもしれない。だまされたりだまされたふりをしたりして華麗なる冒険を最後まで見届けるのも悪くないかな。

              (沖縄タイムス:くさぐさ:2015.1.22)