二度目の恋を

 桜坂劇場で「トレヴィの泉で二度目の恋を」を見た。こんなしゃれたラブストーリーが日本の風土で、まして後期高齢者間で起こるとは考えにくいが、私の父は昨年83歳で二度目の結婚をした。お互い長い間の一人暮らしを経ての同居なので、うまくいくのかと危ぶむところもあったが、そこはさすがに大人の知恵を持ち寄ってなんとかうまくやっているようだ。東京と沖縄と離れて暮らす娘としては、父の再婚は心配より安心感が上回っている。

 世界でも例を見ない高齢化社会の一途をたどるこれからの日本で、幸せな高齢者として生きていくには心を柔軟にしておくことが大切だと思う。偏屈なじいさんだったフレッドがお茶目なおばあさんのエルサによって一歩ずつ踏み出していく(80歳から!)姿は、よく言われる人間は何歳からでも変れるのだという言葉が嘘ではないことを教えてくれる。

 父と伴侶のこれからの人生が柔らかな良いものでありますように。

         (沖縄タイムス:くさぐさ 2015.4.20)