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世界の終りとハードボイルドワンダーランド

 村上春樹様の小説で一番好きなのは「海辺のカフカ」だが、今書こうとしている自分の物語の栄養として、「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」を読み返した。何度読んでも傑作だし、春樹様は天才だと思う。

 「意識の底の方には本人には感知できない核のようなものがある。僕の場合はそれはひとつの街なんだ。街には川が一本流れていて、まわりは高い煉瓦の壁に囲まれている。街の住人はその外に出ることはできない。出ることができるのは一角獣だけなんだ。一角獣は住人たちの自我やエゴを吸いとり紙みたいに吸いとって街の外にはこびだしちゃうんだ。だから街には自我もエゴもない。僕はそんな街に住んでいる」

「僕は自分の勝手に作り出した人々や世界をあとに放り出して行ってしまうわけにはいかないんだ。ここは僕自身の世界なんだ。壁は僕自身を囲む壁で、川は僕自身の中を流れる川で、煙は僕自身を焼く煙なんだ」

 

 脳の半分が傷ついて自分が作り出した街から追放されてしまったのが、今の夫の状態なのだろうか。それは自我のない平和な世界なのだろうか。