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変わる人

  時の流れと共に人生の登場人物はそれぞれの立ち位置を少しずつ変えて来る。
 最近とみに感じるのは身内の人々の老いである。今まで自分が見上げていた人々が、いつの間にか庇護されるべき弱い部分を持つようになっている。
 歩くのが遅くなり、好物だったものを美味しく頂ける歯が少なくなり、物忘れがひどくなり、話のつじつまが合わなくなってくる。
 そんな現実に引きずられて、その人がその人らしくあった時の姿を忘れてしまうとしたら、それは年下の人間の未熟さと言うべきだろう。
 年をとると自然に死ぬことが出来た時代はとうに過ぎ去り、今を生きる老人には過酷な日々が待っていることも多い。それを目の当たりにするとこちらの感情も振り廻されてしまいがちだが、せめて優しいまなざしを忘れたくないと思う。

 人は変わる。変わっただけなのだ。変わる前のその人は確かにいたのだ。